Y's FACTORY


筑波TT参戦記

イベント報告

我がTRX最後の花道

 午前5時、目覚ましが鳴る前に目が覚め、窓の外を見る。
 まだ雨は降っていないが、どんよりとした空模様と、暖かさを感じる気温が不気味だった。

 2001年3月4日、今日は我がTRXの引退レースとなる、筑波TT第1戦が行われる。

 顔を洗い、歯を磨いていると、程なくヘルパー連中が到着する。
 早速トランポに乗り込み、目的地の筑波サーキットに向かう。
 時間が時間なので、渋滞のストレスもない。
 苦もなく筑波サーキットに乗り込んだ。

 すでに現地には、現地待ち合わせのMV-AGUSTA氏(以下、MV氏)一行が到着していた。
 ガレージも借りてくれていた。
 MV氏は、今日が初レースであるのだが、意外と落ちついている様子。
 その反面、ヘルパーK氏は舞い上がっている。
 「いつものことだ」と放っておく我々だったが。

 選手受付を済ませて、車検の準備に取りかかる。
 作業は一見順調に進んでいたが、MV氏に思わぬトラブル発生する。
 「ギアを入れてもかかる?」
 MV氏も愛車F4Sも、固まってしまった。
 そう、サイドスタンドを外したら、エンジンがかからないのだ・・・。

 事前に、スタンドのセーフティースイッチのカプラーを外して、エンジンがかかる事を確認していたそうだが、どうやらニュートラルでの事だったらしい。
 カプラーを外しただけでは、エンジンは回ってくれない。
 スタンドスイッチを作動させた状態にしなくては。


今回もガレージを借りました。
天気が悪そうだし、MVもいるし、みんなで御飯が食べれるし・・・。

 結局、スタンドスイッチを固定することで、難を逃れた。
 スイッチの処置を済ませて、車検に挑んだ我々は・・・、一斉に好奇の視線を浴びることとなった。
 思った通り、と言うべきか。高価で珍しいF4Sを持ち込むんだからね。

 さて、今年からリアスプロケットのまき込み防止が必要になったそうだ。
 今回は、口頭での指導を受けただけで、無事車検を通過した(第2戦からはレギュレーションに載るらしい)。


やはり気になります。

NBクラス予選

 MV氏が参戦する、NBクラス予選が始まった。

 こらえられなくなった曇天から、待っていたかのように雨がポツリ、ポツリと降り出してきた。
 本降りになるなと願うが、路面の色はだんだん濃くなっていく。

 しかもMV氏のタイヤは、晴天時用のミシュラン・パイロットスポーツ。
 いまひとつ、気合が入らない。

 それでも一時は5位のタイムを叩き出す健闘を見せたが、徐々に頭角をあらわしたベテラン勢にのみ込まれてしまい、3列目の9番グリッドに並ぶこととなった。


徐々にペースを上げて行くが、路面も徐々にウェットに・・・。


それでも一時は、5番時計。

NT-1クラス予選

 一方私が参戦する、NT-1クラスの予選も始まった。

 雨足もいよいよ強くなり、「雨が得意!」なんて呑気なこと言ってられない状況になっていた。
 今回はTRXの引退がかかっているので、有終の美を飾りたいところだったが、即断で路線変更。
 完走することに意義があるのだ!

 結局、筑波2000を15分間ツーリング(!?)してチェッカー。順位は4列目15番グリッド。
 今日のところはこの辺で勘弁してやろう!などと空吠えでもしてみる私だった。

 同じくNT-1クラスに参戦した#34 VTR氏は、初めてのレインタイヤに苦戦模様。
 しかし、予選後半には感覚をつかみ、3列目をゲットすることに成功した。

 予選を終えてガレージに戻ってみると、MV氏がなにやら取材を受けている。
 ライディングスポーツ誌編集者に、根掘り葉掘り聞かれるMV氏は、予選のときより緊張した面もちだ。
 K氏は、やはり、相変わらず、にぎやかだ。
 その隙に我々は、煮こみうどん・かす汁風味で体を温め、決勝に備えるのだった。


 外の雨は止みそうにない。
 それどころか、一層激しくなっていく気がする。


さて、これからNT-1クラスの予選なんですが、yonezouは何を祈っているのでしょうか?


予選風景


前回からVTRで参戦している彼(写真中央)は、レインタイヤが初めて。

NBクラス決勝

 NBクラス決勝。
 グリッドに並んだMV氏は、選手紹介で元気に手を振るのだが、それに答えるかのように雨足はますます強くなる。 風までも強くなる。

 「自重できるように、各部分の値段をマシンに書いておこうか」と冗談を飛ばすMV氏だったが、端から見る分には気の毒でしようがない天気。
 私も決勝を控えている身だったが、すでに「やる気」が失せてしまった。

 とにもかくにも、日章旗が振り下ろされ、レーススタート!
 我々は、シルコリンコーナーの外側で観戦したが、強風のため、傘をさしているのも辛い。
 つくづくMV氏を気の毒に思う。

 3周目か、4周目。
 MV氏の前を行くマシンが、第1ヘアピンの立ち上がりで大きく振られた。
 かなりビビるMV氏。
 それでも、順調に周回を続け淡々と走り、無事にチェッカーを受ける。
 ガレージに戻ってきたMV氏の表情には、ありありと疲労の色が浮かんでいた。

 待ちかまえていたRS誌の取材が終わり、みんなで雑談していると、VTR氏が口を尖らせつつやって来た。
 「もう、帰りませんか?(笑)」

 確かに・・・。
 我々がエントリーしているNT-1の出走まで1時間以上あるし、おまけに気温まで下がっている。「良いコンディション」なんて期待するべくもないだろう。
 「この天気だから、今帰っても、誰も文句は言わないけど?」
 などとVTR氏をなだめている私の心は、すでに家に帰って布団の中。
 とりあえず様子見することにし、VTR氏はピットに戻って行った。


グリッド上で名前が呼ばれて、ちょっと嬉しいMV氏の図


ホームストレッチを疾走。


彼のタイヤは、パイロットスポーツ。
この天気じゃあねぇ・・・。


初戦にしてこの天気。
とにかく無事完走しました。


あぁ、肩の荷が下りた。
緊張していたのは、マシンも一緒。

NT-1クラス決勝

 NT-1クラス決勝。
 心配していた雨は上がり、空模様もなんとなく明るくなってきた。
 しかし、依然として路面はウェット。
 私のタイヤはBT56SSなのだが、水さえ浮いていなければ普通に走れるし、多少空気圧も抜いてきているので、何とか走りきれるだろう。

 レース前のグリーフィングで、前のレースで5台ほど転倒が出た、と告げられる。
 即座に頭の中をツーリングモードに切り替える私。
 完走することに意義があるのだ!
 同じ台詞が、頭の中を横切る。

 グリッドにマシンを並べると、選手紹介。
 「黄色のマシンでエントリー!」と予想外の紹介をされたことで、少し気分がハイに。
 チョットだけ元気になり、頭の中がスポーツツーリングモードに切り替わる。
(自己紹介にはなにも書いていなかったけど、どんよりとしたコースでは目立ったのかなぁ・・・)

 決勝スタート!
 1コーナーの進入で、私は驚いた。
 なんと、上位グループに入っているではないか!

 嬉しい誤算だったが、夢はここでついえた。
 レインタイヤ装着車とのペースが違いすぎる・・・。
 私の前に、3台ほどのグループがいるが、追いつきそうで、追いつかない。
 コーナーを重ねるたびに、どんどん離されていく・・・。ここまでか!?

 4周目以降は、ほとんど一人旅となった。
 6周目の1コーナーあたりで、遂にTOPの2台に抜き去られ、周回遅れにされる。
 なんてスピードだ!そこまで信頼できるのか、レインタイヤは!
 追いつこうなんて、到底思えない。

 その後、2周毎にコロニーに抜かされるが、それもコーナーごとに、離されていく。
 依然として、ソロツーリングをしていた私は、なんだかレースと言うよりフリー走行の気分であった。
 いろんな乗り方や、ラインどりをして楽しんでいた気がする。
 それは、現実逃避とも呼べる行動ではあるが・・・。

 このレースを最後に、我がTRXは、私の手を離れてしまう。
 いつになく長く感じた12周を、心に焼き付けるかのように走り、やがてチェッカーが振り下ろされた。

 すごく素直に走ってくれたTRXに、ガッツポーズ!

 そして、ありがとう!


決勝風景。攻める気がしませ〜ん。


この頃には雨も上がり、ツーリングできました。


チョット余裕が出来ると・・・、


このザマです・・・。


チェッカーが振られ、ガッツポーズ。

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